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02 сентября 2017 г.

俳句講演会 『「俳句の修辞〈レトリック〉-「切れ」「取合せ」「一物」-』

 

第9回国際ロシア語俳句コンクールの表彰式に出席するために訪露する俳人・望月とし江氏による講演会です。日本の俳人と交流できる貴重な機会です。ぜひお越しください。

 

【日時】9月17日(日) 16:00 – 17:30 

【場所】モスクワ日本文化センターレクチャールーム(ニコロヤムスカヤ通り、1)

【入場無料】登録は不要ですが、図書館に入館するために身分証明書が必要になりますので、パスポートをご持参ください。

【講義内容】

ロシア語俳句の一定の見解、条件の中に、「一文で書かないこと。二部にわけ、それぞれが相互関係にあること。それぞれが、異なることを表現すること。」があり、これは日本の俳句における「切れ」「取り合わせ」とぴったり重なる概念でることに興味を覚えた。

 俳句における重要要素として、「季語」「定型(五・七・五)」が取り上げられることが多いが、少数だが無季俳句・自由律の俳句も存在する。むしろ、俳句が短歌や川柳と異なる大きな点は、「切れ」と「取り合わせ」という技法にあると考える。

 「切れ」とは、五七五の中(あるいは末)に、切れる箇所を作り、流れを変えることにより、詠嘆・表現の重層性をもたらす技法。「取り合わせ」は「切れ」とも深く関わり、短い詩形の中に、二つのもの(論理的には結びつかない)を取り合わせることにより、句の世界に深さと重層性を現す技法。

 

  夏草や/兵(つはもの)どもが夢の跡   芭蕉

 

  /が「切れ」。「や」という切れ字を使い、そこに詠嘆がこもる。眼前の夏の草原と、昔の義経主従の凄絶な最期を重なり合わせている。 こうした技法を「取合せ」とともに、その対にある「一物(一つのものを詠む)」も併せ、芭蕉~現代の俳人作品を紹介し、現代の〈俳句〉を取り巻く状況とともにお話したい。

 

 

【講師プロフィール】

望月とし江

 

1958年 静岡県伊東市生まれ。

 

1983年 立教大学大学院博士前期課程日本文学専攻修了 

専攻は、新古今を中心とした中世和歌。


1983年~ 都立高校の教諭として勤務(国語科)。


2001年 「澤」俳句会入会。小澤實に師事。

2007年 「澤新人賞」受賞。

2013年8月~ 「澤」編集長。

2013~2015、2017年 「俳句甲子園」全国大会 一般審査員。

共著 『くらしのこよみ』(平凡社)

俳人協会会員。

 

*二十代後半、俳句に興味を持つ。しばらく愛読書は「歳時記」という俳句読者の時期が続いた。1年だけ某結社に入ったが、あまり熱心に関われず退会。その後、小林恭二の『俳句という遊び』(1991年・岩波新書)、『俳句という愉しみ』(1995年・岩波新書)に触発され「また俳句を作りたい」「今回は安易に辞めない」と決意。どの師を選ぼうか迷っていたところ、この両著に登場する小澤實が、2000年に新結社を立ち上げたことを知り入会。現在に至る。

この世界を五・七・五という俳句の型に入れて表したい。「モノ」の手触りのある俳句を作りたいと思っている。

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